採寸とサイズのバランス

スポンサーリンク

既製品であれば半年も販売していれば、客の体型を見ただけでおおよそのサイズがわかるようになる。
既製服の場合は その場で現物を着用してサイズを確認し、寸法直しは股下のほかは、ウエストと袖丈くらいなので、客のヌード寸法(身体の実寸サイズ)は特に必要ないので、既製服店でのメジャーリーグはサイズの確認程度のもの。

一方、イージーオーダーの場合、ヌード寸法は標準サイズを割り出すため非常に重要。

イージーオーダーは採寸時にゲージ服(サイズ確認用のサンプル)を着用するショップが多いが、既製服と比べると展開しているサイズが少ないため、全体的なサイズ感や着心地を掴むのは難しい。

また、オーダースーツは「何でもできる」と勘違いしている人も多いが、イージーオーダーの場合は使用するパターンのほか、体型やデザイン、バランスなど多くの制限があり、希望通りのサイズやデザインで作れるわけではない。

そのためフィッターは始めにお客のヌード寸法から標準サイズを算出し、 客の希望を聞きつつ、常に標準サイズを意識してフィッティングを行っている。

サイズのバランス

スーツは着用した際にシワの入っていない状態が理想形で、ヌード寸法から算出するサイズは採寸時の基準値になる。

上衣で初めに決めるのは胸廻サイズ。
胸廻サイズに連動して肩巾が決まり、指定した肩巾で袖丈を決める。
次に胸廻りサイズの許容範囲内で胴回り、続いて上衣丈を決める。

パンツはウエスト・ヒップのサイズを決めたら股上、続いて総丈から股上サイズを差し引いて股下を算出する。

上衣の胸廻り(上胴)

上衣の胸廻り(上胴)サイズはヌード寸法のバストサイズだけでなく、肩巾、アームホール、蹴回しと連動しており、上衣のパターンやスタイルによって ゆとり量が変わってくる。

スタンダードパターンの ゆとり量は15cm前後、タイトパターンは12cm前後など、同じ胸廻りサイズでも実際の仕上がり寸法は違ってくる。
そのため ゆとり量15cmと11cmのパターンでは、仕上がり寸法は4cm異なるため、タイトパターンで胸廻り96cmの上衣の実寸法をスタンダードパターンに換算すると、胸廻り92cmのスタンダード・レギュラーパターンになる。

胸廻

また、上肢の筋肉である三角筋が発達していると、ヌード寸法のバストサイズで合わせると肩先があたり、アームホールも脇ぐりが食い込んでしまうケースが多く、スポーツなどで臀筋が発達している場合は、バストサイズで合わせると 蹴回しの ゆとりが不足することがある。

そのため上衣の胸廻りは、オーバーバスト(腕を下ろし状態で腕を含めたバストサイズ)・バスト・ヒップサイズのバランス確認が重要。

バストサイズの目安1:オーバーバスト - 18cm
バストサイズの目安2:
ヒップサイズ - 2cm

標準体型の場合、オーバーバスト(OB)とバストの差は18cmで、20cmを超えると上衣の胸廻りサイズを上げたほうがフィットする可能性が高い。
同様にヒップからバストサイズを引いた数値が4cmを超える場合も、上衣の胸廻りサイズを上げたほうがバランスが取れる場合が多い。

肩巾

胸廻りサイズが決まると自ずから肩巾も決まってくる。
肩巾は肩線と袖付けの接点から上衿と背縫線の接点を通り反対側の接点までの長さで、1cm前後の変更は可能だが、1.5cm以上変更する際は胸廻りサイズの変更が必要になる。

胸廻90cmまでの肩巾の目安:胸廻  / 2ー 2cm 
胸廻96cmまでの肩巾の目安:胸廻  / 2ー 3cm
胸廻104cmまでの肩巾の目安:胸廻  / 2ー 4cm 

袖丈

袖丈は肩巾に連動するので、ゲージ服を使用する場合は指定した肩巾に近いゲージ服で測る。

一般的にスーツの袖丈は手のくるぶしが目安で、ワイシャツの袖が5mm程度見えるのが理想なのだが、その場合はワイシャツもオーダーするか、アームバンドなどで袖丈を調整する必要がある。

既製のシャツを着用する場合、大抵は袖丈が長いため スーツの袖丈をくるぶし付近にすると シャツのカフ部分が飛び出て バランスが悪くなるので、親指の付け根付近を目安に長めにすると良いかも。

女性のスーツは袖丈を手の甲の半分くらいにするのが一般的なため、混同している人も多いが、男性のスーツの袖丈を手の甲の半分まで伸ばすと非常に野暮ったくなるので要注意。

袖丈の目安1:(裄丈 ー(肩巾 / 2))+3cm
袖丈の目安2:着丈-14cm前後

上衣の胴廻り(中胴)

上衣の胴廻は よく「拳1つ分」が目安と言われるが、標準体(A体)のゆとり量は16cmが目安で、痩身体のゆとり量は多めに18cm、肥満体は少なめに12cm程度と、体型によってゆとり量を調整するとバランスが良くなる。

ゆとり不足
ゆとりが10cmを切ってくると、フロント釦を留めたときに引っ張られて横ジワの発生や、蹴回しがヒップに引っかかるので注意が必要。

胸廻りサイズが決まっているため、胴回りの絞りにはパターンがサポートしている体型の制限があり、パターンがY体からB体までの体型に対応している場合は、胸廻サイズに対してドロップ差16cm~8cmまで範囲内で指定できる。

上衣丈

上衣丈の基本は「長方形」。
タイトスーツが流行るまでは 総丈(第7頚椎から床まで)の二分の一に2cmプラスくらいが標準だったが、現在は総丈の半分が標準の目安。

上衣丈の標準:総丈 / 2

ただし、女性のスーツや昔の短ランのように上衣丈を短くすると、上衣が正方形に近くなり、パンツとのバランスが悪くなるので注意が必要。

ウエスト・ヒップ

既製のパンツはウエストサイズで選ぶが、オーダーの場合はヒップサイズがポイント。
パンツの体型はヒップとウエストのドロップ寸で算出し、使用するパターンがサポートしている範囲内でヒップとウエストを指定する。

パンツのフィッティングで多いのが、ヒップのゆとり量に対する誤解で、特にパンツを細くしたい人は、ヒップのゆとり量を気にする傾向がある。
一般的なタイトパンツの多くが伸縮性のあるストレッチ素材を使用しているのに対し、ストレッチ性のないスーツ地で ゆとり量を削ってしまうと、座ったときなどに生地へのテンションが強くなり、生地がしっかりしていると縫い目がパンクし、織りがあまい生地だと生地が裂けてしまう可能性が高くなる。

ヒップ周りのゆとり量はデザインによって大きく異なり、最もゆとりが少ないのがノータック、ゆとりが多いのは2タックやハコタックになる。

股上

カジュアルでローライズになれていると、同じ感覚でスラックスの股上も浅めを希望する人が多いが、ローライズパンツは専用のパターンがあり、通常のスラックスのパターンで股上を浅くしても、ローライズパンツのようにはならず、ただ股上が浅いだけの穿き心地が悪いパンツになる。

一般的なスラックスのパターンでは、股上は25cm~27cmが標準の目安。

裾巾

パンツ全体のシルエットを決めるものだが、無闇に細くしても使用するパターンやヒップサイズなどによって、バランスが悪くなるので注意が必要。

一般的にヒップサイズと裾巾を指定すると、ワタリ巾やヒザ巾はパターンのデータから適正なサイズ自動的に算出されるが、型紙の知識がないままヒザ巾などを感覚で指定すると、パンツのラインが崩れてしまう可能性がある。

わたり巾の標準サイズ:尻廻  / 3+0.5cm~2.0cm

パンツ丈

パンツの総丈は、帯先からパンツの脇線に沿ってまっすぐ踵までの長さで、パンツ総丈から股上を引いたものが股下のサイズになる。

標準は踵から1 ㎝上げた長さ、長めで踵までが一般的ではあるものの、丈の長さは好みが分かれるところでもある。

新人フィッターに多いのがパンツ総丈を測る際に、裾の長さを確認するためお客に声をかけ、客は裾を確認しようと前かがみになり、そのまま寸法を決めてしまうという失敗。
ウエスト位置を少し直すだけでパンツの丈は軽く1~2cm程度変わり、前かがみになった状態で測ると、ルパン三世のような状態になってしまう。

左右の長さを5mm変えてほしいという人もいるのだが、そもそもパンツを穿いた際にウエストが寸分違わず水平になっているわけもなく、更に生地は湿気や乾燥により伸縮するため、5mmという差はほとんど意味がなく、JIS規格でも誤差の範囲内になっていたりする。


関連記事

採寸とサイズのバランス

既製品であれば半年も販売していれば、客の体型を見ただけでおおよそのサイズがわかるようになる。 既製服の場合は その場で現物を着用してサイズを確認し、寸法直しは股下のほかは、ウエストと袖丈くらいなので、客のヌード寸法(身体 […]

サイズとフィッティング

スーツのサイズは靴ほどシビアではないものの、やはり「合うサイズ」というものには個人差がある。 オーダースーツを仕立てる際、仮縫いがあったり、見本服を着用するのは、客観的に数値化されない「客の感覚」という相対的品質を可視化 […]

体型と号数

スーツだけでなく既製服のサイズには体型と号数があり、体型はJ体~E体で横幅、号数は2号~7号で身長を表している。 レディースの採寸でヌード寸法から適切なサイズの見本服を着せ付けすると、「私はいつも◯◯号ですけどっ!」と、 […]

スポンサーリンク
スポンサーリンク
サイズとフィッティング
MEN'S SUITS GUIDE
タイトルとURLをコピーしました