ポイント還元事業とキャッシュレス化のリスク

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2019年10月1日の消費税 増税とともにポイント還元が始まったが、施行直前の9月18日に日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会、全国スーパーマーケット協会、日本チェーンドラッグストア協会 の 流通4団体が「 キャッシュレス・ポイント還元事業 」についての意見・要望を提出した。

流通4団体/経産省「ポイント還元事業」抜本的な見直し要望

要望書では国が行うポイント還元という値引きに対しての懸念が示されているが、この奇妙なバラマキ施策は消費者にデメリットはないものの、中小の小売店には微妙にリスクがある。

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小売店の場合、資本金5000万円以下、または従業員50人以下が「中小・小規模事業者」に該当し、2019年10月~2020年6月までの期間は、キャッシュレス決済の手数料(3.25%以下)の三分の一の補助が受けられ、国が原資を提供するポイントも5%の還元が受けられる。
もちろん指定事業者になるためには事前に申請が必要。

経済産業省 キャッシュレス・ポイント還元事業 公式サイトlink

消費者はキャッシュレス決済で購入すると、消費税込みの金額の対して5%のポイントが貰えるので、うまく利用すれば増税前よりも安く購入できることになる。

このシステム、短期的に見ると中小・小規模店舗の集客に繋がりそうだが「 キャッシュレス決済 」の手段があまりにも細分化して、オペレーションや端末を含めて非常に煩雑になっているという大きな問題があるだけでなく、支援期間終了後は加盟店手数料が通常の料率に戻り、ポイント還元もなくなるため、状況が一気に悪化する懸念がある。

キャッシュレス・ポイント還元事業 中小・小規模店舗向け説明資料 PDFlink

キャッスレス決済 多様化 の問題

最近は PayPay や Line Pay、楽天ペイなどの「◯◯ペイ」と名の付く QR決済 が脚光を浴び、 キャッシュレス決済の代名詞のようになっているが、キャッシュレス決済には 従来のクレジットカード のほか 楽天Edy や iD  、 QUICPay などの電子マネーも含まれており、電子マネーやQRコード決済は顧客の囲い込みを狙ったポイントカードと化している。

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クレジットカード・電子マネー・QR決済は、それぞれ決済事業者が異なり、使用する端末も違ってくる。

QR決済 に関しては キャッシュレス推進協議会が「 JPQR 」という QRコード決済の統一仕様を策定し、LINE Pay・メルペイ・楽天ペイなどが JPQR のサポートを発表しているが、QR決済 のシェアが LINE Pay と並んで高い PayPay は対応していないため、個別契約が必要になる。

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「キャッシュレス」と一括にするのは良いのだが、キャッシュレスサービスが乱立した状況下では、クレジットカードが使用できるだけでもキャッシュレスだし、 waon と Edy しか使用できなくてもキャッシュレスといった感じで、ポイント還元事業の加盟店で利用できるサービスが異なっている。

また、マスコミがキャッシュレス決済を取り上げる際には、なぜかQRコード決済に焦点を当てるため、「キャッシュレス決済 = QRコード決済」というニュアンスで伝わっているのも大きな問題。

そもそも国内で最も普及しているのはクレジットカードで 保有率は84%と高水準。
しかもクレジットカードであれば VISA / Master 系とJCB / Amex系、中国の観光客が多い場合は銀聯カードを使用できるようにするだけでグローバル化も対応できるため、普通にクレジットカードが使用できる加盟店を増やすほうが はるかに効率的で分かりやすい。

「クレジットカードに関する総合調査」2018年度の調査結果を発表

中国からの旅行者はアリペイやウィチャットペイなどのQRコード決済がメインだが、中国以外の観光客が保有しているのはPayPayでもSuicaでもなく、クレジットカードで、中国人観光客もほとんどが銀聯カードを所有しているため、クレジットカードを導入するだけで多くの問題は解決する。

東京オリンピックに向けてキャッシュレス化を推進するなら、新たにQRコード決済などを導入しなくても、クレジットカード決済の取扱店を増えせば済むだけの話で、飲食店でPayPayなどQRコードが使用できても、海外からの観光客にはメリットがない。

キャッシュレス決済のリスク

今回の国が先導するキャッシュレスキャンペーンは、消費者にキャッシュレス決済を浸透させることが目的になっており、小売店にしてみれば従来の現金収入から数%の手数料を差し引かれるため、確実に収益は悪化する。

2020年の6月までの「ポイント還元事業」期間中は、加盟店にも決済手数料の補助があり還元ポイントの負担もないため「ポイント還元事業」前からクレジットカード決済などを導入している店舗は、ポイント還元事業加盟店になることでメリットはあるが、今回から新たに導入した店舗は手数料負担だけが増える。

「ポイント還元事業」の期間終了後も売上が伸びていれば良いのだが、売上が変わらないまま現金決済の比率が下がれば売上減と同じ。

更にキャッシュレス決済はオーソリーやサーバ認証が必要なため、オンラインであることが大前提になる。
QRコード決済のようにユーザー側もオンラインであることが必要な場合は、ユーザー側の電波状況やアプリの障害などで決済ができないケースがあり、会計時に右往左往するケースが少なからず発生する。
また、販売店側もルーターなど通信関連は保守契約をしない限りは自前でメンテナンスが必要で、ルーターなどに不具合が発生すると決済ができなくなる。

クレジットカードであればインプリンターを使用して、電話で承認を取ることも可能だが、電子マネーやQRコード決済はオフラインになると使い物にならない。

個人情報と貸金業

関東圏で人気のあるSuicaでオートチャージするためには、JR東日本のビューカードが必要で、結局のところ使用しているのはクレジットカード。
楽天ペイは楽天カード、PayPayはYahooカードとの組み合わせることで、ポイントの還元率が増える仕組みになっている。

クレジットカード会社に最も大きな利益をもたらすのはリボ払いとキャッシング。

楽天カードはクレジットカードの中でも審査が甘く、他のクレジットカードで与信が通らない場合でも、楽天カードであれば作れるという話しをよく耳にする。
皮肉なもので与信が通りにくいほどリボ払いやキャッシングを利用する可能性が高く、楽天スーパーポイントと楽天カードによって、楽天市場での買い物をはじめとして楽天経済圏を確立している。

一方、LINEと統合を発表したヤフーは、Yahooカードがあるものの楽天カードに比べると認知度も低く、QRコード決済ではPayPayが大きなシェアをとっているが、QRコード決済自体のシェアが小さいため、楽天経済圏に遠く及ばない。
しかし、LINEと統合することで状況は大きく変わってくる。

LINEは2019年8月末に無担保の少額ローンサービス「LINE Pocket Money」を開始しており、そこへYahooカードやPayPay、ソフトバンクやYモバイルが加わることで、LINEの個人情報に様々な情報を紐付けることができ、アリペイなどが行っている独自の与信基準などを構築し、近いうちに消費者ローンや銀行のカードローンに代わる融資ーサビスになるはず。

PayPay でやたらとポイントをバラ撒いているのも、これから展開する融資事業の布石なのかも。

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